第3問で決算整理に入るとき、ふと手が止まることがある。
決算整理仕訳を、いったん自分で全部書いてから解答欄に入れるのか。それとも、書かずに解答欄へ直接入れていくのか。
結論から言うと、どちらが正解、という話ではない。この記事では、私がどう解いていたか、そしてなぜそうしていたかを書く。そのうえで、あなたが自分のやり方を決めるときのヒントになればと思っている。
私は、決算整理仕訳を全部書いてから入れていた
先に私のやり方を言っておく。私は、決算整理仕訳をいったん全部書いてから、解答欄に入れていた。
書く場所は、問題用紙の余白だった。決算整理の事項を1問ずつ、余白に仕訳として書いていく。全部の仕訳が書き終わったところで、その内容を解答欄に反映する。順番としては、書く、そして入れる、の2段階だ。
遠回りに見えるかもしれない。書いてから入れるなら、同じことを2回やっているように感じる人もいるだろう。それでも私がこの方法を続けていたのには、理由がある。
頭の中だけで進めると、混乱しやすかった
一番の理由は、頭の中だけで処理すると、私は混乱しやすかったからだ。
決算整理は、処理することがいくつも並ぶ。ひとつ処理するたびに、次の処理へ頭を切り替える。その途中で、「さっきの処理はどうなったんだっけ」となることがあった。
しかも、これは特定の処理だけの話ではない。私の場合は、決算整理のどの処理でも、頭の中だけで進めると混乱しやすかった。
頭の中だけで進めていると、途中で忘れてしまうことがあった。ここまで処理したつもりでも、実際には抜けている。自分では済ませたと思っていても、確かめる手がかりがない。
もうひとつ感じていたのが、「書いておかないと、あとから見返しができない」ということだ。頭の中で済ませた処理は、解答欄に入れた瞬間に、元の考え方が残らない。あとで「あの処理はどう考えたんだっけ」と思っても、戻る場所がない。
cosmo書く手間はかかる。それでも私には、ミスしたときに確認できる仕訳が手元に残ることが大きかった。
当期純利益(損失)が合わなかったとき
実際に、計算が合わないことがあった。
ひとつは、当期純利益(損失)を出したあとに、計算が合わないときだ。最後まで処理して数字を出したのに、どうも合っていない。そういう場面があった。
この状態になると、どこに原因があるのかが分からない。決算整理のどれかひとつかもしれないし、複数かもしれない。そもそも何を処理して何を処理していないのかが、頭の中にしかなければ、処理済みの内容を確かめるのに手間がかかる。
私の場合は、先に仕訳を書いていた。だから、合わないと分かったあとに、書いた決算整理仕訳を見返すことができた。ひとつずつ確認していけば、確認すべき範囲がはっきりする。
ここからは、精算表を使った一般的な確認方法を補足する。損益計算書欄では、収益と費用の差から当期純利益または当期純損失を求める。貸借対照表欄でも、利益・損失を記入する前の借方・貸方の差額を確認し、両方から求めた利益・損失の金額と区分が一致するかを見る。単に「何となく数字がおかしい」と考えるより、比較する場所を決めると確認しやすい。
ただし、これは精算表の場合の見方だ。財務諸表を直接作成する問題などに、同じ欄があるとは限らない。解いている問題の形式に合わせて、決算整理前の残高から、どの仕訳でいくら増減させたのかを追っていこう。
精算表の整理記入欄の合計が合わなかったとき
もうひとつ、精算表の整理記入欄の合計が合わないこともあった。
整理記入欄は、決算整理仕訳を反映する欄だ。借方と貸方の合計が一致しないときは、片側の記入漏れ、金額や記入位置の間違いだけでなく、合計の足し算も確認したい。
このときも、書いた決算整理仕訳が役に立った。仕訳をもとに、整理記入欄に入れたものと突き合わせて確認できたからだ。仕訳が手元にあると、「何をどこに入れたはずか」を、順番に追いかけられる。
ここで大事なのは、書いたから必ず合う、という話ではないことだ。書いた仕訳そのものが間違っていることもあるだろう。それでも、見返せるものが手元に残っていることが、私には大きかった。
確認する順番の一例は、①仕訳の借方と貸方の金額、②整理記入欄に反映した科目・左右・金額、③欄の合計計算だ。書いた仕訳と問題文も照らし合わせる。仕訳だけを見直していると、そもそも書かなかった処理を見落とすことがある。
合計が一致していても、すべて正しいとは限らない。たとえば、決算整理仕訳を借方・貸方とも記入し忘れた場合、整理記入欄の貸借は一致したままになる。両側に同じ誤った金額を書いた場合も同じだ。「合ったから終了」ではなく、各事項を反映したかまで確かめたい。
見返して見つかったのは、地味なミスだった
書いた仕訳を見返して見つかったミスは、難しいものではなかった。たとえば、こういうものだ。
- 書き忘れ:処理するはずの仕訳を書いていなかった
- 計算違い:仕訳の金額の計算を間違えていた
- 欄ずれ:仕訳は合っているのに、解答欄に入れる位置がずれていた
書き忘れや欄ずれは、処理を理解していても起こりうる。ただし、計算違いは、計算に使う数字や考え方の理解が曖昧な場合にも起こる。すべてを「うっかり」で済ませず、原因を分けて見たい。余白に書いた仕訳と解答欄を見比べられると、「仕訳の段階のミスなのか、入れる段階のミスなのか」が見分けやすくなる。
書いておくと「戻る場所」ができる
ここまでの話をまとめると、私が書く方法を選んでいた理由は、時間を短くするためではない。ミスをしたときに、戻れるようにするためだった。
仕訳を書く目的は、処理と見直しの手がかりを残すこと。きれいな仕訳帳を作ることではない。練習では、決算整理事項の番号を仕訳の横に添え、反映したら小さな印を付ける方法も試せる。これは私の当時の手順を再現したものではなく、読者が取り入れられる工夫の一例だ。
書く時間がかかることは、たしかにある。ただ、私にとっては、その時間と引き換えに、見直しのしやすさを手に入れていた感覚だ。
その見直しの時間についても、触れておく。私は、見直しの時間を取れていた。時間が余りそうにない場合は、無理やりにでも見直しの時間を取っていた。書いた仕訳は、処理を整理するためにも使える。見直しの時間も確保できれば、記入漏れや欄ずれを確認しやすい。
直接入れる方法も、悪いわけではない
ここで、はっきり言っておきたい。直接解答欄に入れる方法が悪い、と言いたいわけではない。
決算整理に慣れている人なら、仕訳を書かなくても、頭の中で処理して直接入れていけるかもしれない。そういう人にとっては、書く手間が省けるという良さもあるだろう。私が書いていたのは、あくまで私にとって混乱しにくい方法だった、というだけだ。
また、問題の形式によっても、直接入れやすいかどうかは変わるはずだ。私が受けた当時と今とでは、試験の形式も違う。私のやり方が、どんな問題でも通用する万能なやり方だとは思っていない。
直接入れる人にとっての戻る場所は、書いた仕訳ではなく、問題文の決算整理事項になるのかもしれない。その場合も、合わなかったときにそこへ戻って確認できるかどうかを、自分で試してみるといい。書く方法にも弱点はある。書く分だけ手間がかかるし、余白も使う。そこは人によって、合う合わないがあるはずだ。
この記事は公式の解答手順を紹介するものではなく、一人の受験経験者の工夫を紹介するものだ。問題用紙の余白に書いていたという話も、私が受験した当時の経験として読んでほしい。本番では、受験する方式の案内に従い、認められた用紙を使おう。
あなたはどう決めるか
では、読んでいるあなたは、どう決めればいいのか。
私なら、次の点を考える。計算が合わなかったとき、自分は何を頼りに戻れるのか、ということだ。
- 頭の中だけで処理して、混乱したり忘れたりしないか
- 合わないと気づいたとき、どこを見返すつもりか
- 自分にとって、書く手間と見直しやすさのどちらが大きいか
考えるだけで決めにくければ、練習問題で試してみよう。書く方法と直接入れる方法について、解き終わるまでの時間、間違えた箇所、原因を見つけられたかを簡単に記録する。同じ問題の直後の解き直しでは答えを覚えていることもあるので、別の同程度の問題でも確かめたい。
全部書くか、全部省くかの二択にする必要もない。迷う処理や複数の科目に影響する処理は書き、根拠を説明できる慣れた処理は直接反映する、という試し方もある。ただし、どちらも未処理と処理済みが混ざらないようにしたい。速さだけで決めず、ミスを含めた結果で判断しよう。
cosmo書く量を減らすことより、正しく反映して、必要なときに見直せること。自分に合うやり方は、本番前の練習で確かめよう。
本番前に、戻れる方法を決めておく
本番では緊張して、普段なら気づくことを見落とすかもしれない。その場で解き方を大きく変えるより、練習で使ってきた手順を持っておきたい。
だから、本番の前に決めておきたい。書いてから入れるのか、直接入れるのか。そして、合わなかったときには、どこへ戻るのか。
ミスしたときの確認方法も含めて、本番前に決めておく。
私は、書いた決算整理仕訳に戻る方法を選んでいた。あなたの方法は、あなたが決めればいい。ただ、決めないまま本番を迎えるのだけは、もったいないと思う。
まずは、今日解く第3問で、どちらの方法を使うか決めるところから始めてみよう。


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