簿記3級で時間が足りない人へ|速さより「取れる点を先に取る」解き方

過去問や模試を解いていると、最後の問題までたどり着けない。見直す時間なんて、とても残らない。そんなときは「もっと速く解かなきゃ」と思いたくなるよね。

でも、急いで読んだせいで金額を見落としたり、借方と貸方を逆にしたりしたら、せっかく分かっていた問題まで落としてしまう。まず見直してほしいのは、一つの問題にどこまで時間を使うか、というところだ。

私が伝えたいのは、取れる点を先に取ること。分からない問題の前で止まったまま、解ける問題を残して終わるのはもったいない。そのために、いったん飛ばして、あとで戻る。この記事では、私の受験時の経験と、今の練習に取り入れるための考え方をお話ししたい。

簿記3級で時間が足りないときは、問題を読み、答えまでの見通しと残り時間を見て進むか決め、最後に飛ばした問題へ戻る
取れる点を先に取るための判断の流れ

私は順番どおりに解いて、最後に見直した

私が簿記3級を受けたのは、まだネット試験がなく、紙の試験だけだった頃。試験時間も問題の構成も、今とは違う。まず、その前提で読んでほしい。

普段の勉強は週に2〜3時間くらいだった。試験前の1週間は過去問を毎日解き、1日3回分を、それぞれ時間を計って解いていた。間違えた問題は解き直す。同じ過去問を何回繰り返したのかは、自分でも覚えていない。

本番は第1問から順番どおりに進めた。分からない問題や、その場で手が止まる問題は飛ばして、ほかを解き終えてから戻った。印やメモはつけていなかったし、特定の種類だけを飛ばしていたわけでもない。止まったら次へ進む、というやり方だった。

戻ってから解けた問題もあった。最後には10分余って、見直しまでできた。もっとも、繰り返している間に「急に速くなった」と実感したことは特になかった。

これは私の経験なので、同じ回数をこなせば同じ結果になる、というものではない。今の試験とは条件も違う。ただ、手が止まったところで粘り続けず、ほかの問題へ進んでいたことは、時間が足りない人に伝えておきたい。

時間を使った分だけ、点が増えるわけではない

2026年9月時点の日商簿記3級は、試験時間60分、合格基準70%以上。日本商工会議所の公式案内で確認できる。満点でなくても合格できる試験だからこそ、限られた時間をどこに使うかが大切になる。

たとえば、勘定科目が思い出せない仕訳を前にして、同じ問題文を何度も読み返している場面を考えてみよう。その後ろには、読めばすぐに仕訳を書ける問題が残っているかもしれない。ここは説明のための例で、私の本番の再現ではない。

分からない仕訳に時間をかけても、必ず答えが出るとは限らない。一方、すぐ解ける問題まで進めば、解答欄を埋められる。その違いを意識してみてほしい。

もちろん、合格基準が70%だからといって、最初から30%分を捨てていいという意味ではない。正解したつもりでも、読み落としや計算ミスがあるかもしれないからだ。解けるところを広く拾い、そのうえで残った問題に戻る。少しでも点を積み上げるための順番だと考えると、飛ばすことへの抵抗も小さくなると思う。

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飛ばすのは、あきらめるためじゃない。ほかの問題を解いて、あとで戻るためだ。

飛ばすのがもったいないと感じたら

問題文を読み、途中まで考えたのに先へ進むのは、気持ちのよいものではないよね。「ここまでやったんだから、もう少し」と思うこともあるだろう。

でも、その問題に使った時間は、さらに粘ったからといって戻ってくるわけではない。今から使う時間で、何ができそうかを考えたい。

すぐに答えが浮かばなくても、必要な計算や処理が分かっていて、答えに近づいているなら、続ける選択はある。逆に、同じところを読み返すばかりで次にすることが決まらないなら、いったん置く目安になる。

ただし、手が動いていれば続けてよい、とも言い切れない。計算を進めていても、その問題だけに時間を使いすぎれば後ろが残る。見るのは「答えまでの見通し」と「残り時間」の両方だ。

たとえば、残り5分で、まだ見ていない問題があるとする。今の計算がもう一度最初からやり直しになりそうなら、先に未着手の問題へ目を通す、という判断ができる。反対に、あと一つの足し算で答えが出るところなら、そこを終えてから移る選択もある。どちらも一例で、5分を一律の締め切りにする話ではない。

練習では、大問ごとに時計を見るなど、時間を確かめる区切りを決めておくと判断しやすい。時計ばかり気にして集中が切れるなら、見る回数を減らして調整すればいい。

解く順番は、まず普段のままでいい

「第1問の次は第3問」「苦手な第2問を最後に」と、解く順番を変えたくなる人もいると思う。得意な問題から取りかかるのは一つの方法だ。ただ、順番を変えるだけで時間不足が解消するとは限らない。

私が順番どおりに解いていたことからも、まず試してほしいのは、解けない一問のために先の問題を全部待たせないことだ。最初から解き方を大きく変える必要はない。

大問の中で一つの処理に迷ったときも、ほかに進められる箇所がないか見てみよう。ただし、前の計算結果を使う欄など、互いにつながっている部分には注意が必要だ。分からない数字を仮に入れ、その数字をもとに最後まで計算すると、あとで直す範囲が広くなることがある。

途中の計算を残すなら、どの数字まで確認できたのか、自分が読み返して分かる書き方にしておきたい。ここからは私の当時の方法ではなく、戻る場所を見失いやすい人への提案だ。紙の問題なら後回しにした箇所へ印をつける、ネット試験の練習なら使えるメモに問題番号を残すなど、自分が戻りやすい方法を試してみてほしい。

問題を繰り返すときは、止まった理由まで見る

私がしていたのは、時間を計って解き、間違えた問題を解き直すことだった。その経験を踏まえて、今、時間不足で困っている人には、解答後に「どこで止まったのか」も見直すことを勧めたい。

たとえば、解説を見ればすぐ理解できるのに、問題文を読んだときには勘定科目が選べなかった場合。答えの形だけを覚え直すより、問題文のどの言葉から取引を判断したのかまで確かめたい。同じ仕訳でも、文章の言い回しが変わると迷うなら、そこを練習する必要がある。

処理は分かっていたのに数字が合わなかった場合は、計算し直す前に、金額の写し間違い、集計から抜けた項目、二重に足した項目を見てみる。「計算ミスだった」で終えるより、どこでずれたかが分かれば、次に確かめる場所を絞れる。

そして、時間を外しても解けない問題が多いなら、解く順番だけで解決しようとしなくていい。該当する仕訳や決算整理を短い問題で復習してから、もう一度まとまった問題へ戻る。考え方がまだ曖昧な状態で急ごうとすると、迷う場所がそのまま残ってしまう。

同じ問題を繰り返すと、答えの数字を覚えることもある。正解したときは、「どうしてこの科目になるのか」「どうしてこの金額なのか」を説明できるか確認してみよう。数字を覚えて解けた場合と、処理が分かって解けた場合を、自分の中で分けておきたい。

使う問題も、受験年度の出題範囲と形式に合ったものを選ぼう。昔の過去問を現在の60分で丸ごと解いても、問題構成が違えば時間配分の練習にはなりにくい。私の昔の経験から取り入れてほしいのは、時間を計り、間違いを解き直す習慣のほうだ。

戻る時間と見直す時間を、どう使うか

最後まで目を通せたら、置いてきた問題に戻る。ここでも最初に飛ばした問題から必ず解く必要はない。読み直したら勘定科目が浮かんだ問題や、あと少しの計算で答えが出せそうな箇所から手をつければいい。

私にも、戻ってから解けた問題があった。ただ、時間を置けば必ずひらめくわけではない。読み返しても見通しが立たなければ、ほかの解答を確かめる時間に回す判断も必要になる。

見直しも、全部を最初から解き直そうとすると時間がかかる。普段、金額の桁を間違えやすいなら転記した数字を、借方・貸方を逆にしやすいなら左右を先に確かめる。解答欄のずれや入力漏れも、短い時間で確認しやすいところだ。

ネット試験を受けるなら、仕訳や計算だけでなく、画面を移動したり数字を入力したりする時間も含めて練習したい。紙で解けることと、画面上で同じように進められることは分けて考えよう。私はネット試験を受けた体験として書いているわけではないので、操作は受験する方式の案内や練習環境で確かめてほしい。

見直して答えを変えるときは、「なんとなく不安だから」ではなく、読み落とした条件や計算の誤りが見つかったかを基準にしたい。合っている解答まで、焦って直してしまわないためだ。

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手が動いていても、残り時間は見ておこう。答えまでの見通しが立たなければ、先へ進む判断もできる。

次の1回は「先へ進めたか」を確かめよう

次に問題を解くとき、いきなり全部を変えなくていい。普段の順番で始め、止まった問題をいったん置いて先へ進む。それを一つ、試してみてほしい。

解き終えたら、点数と一緒に、最後まで目を通せたか、どこで時間を使ったか、戻る時間が残ったかを振り返る。メモは「仕訳の科目選びで迷った」「集計を二度やり直した」くらいで十分だ。詳しい記録を作ることが目的ではない。

最後まで進めたのに点数が伸びなかったなら、間違えた内容の復習へ。解ける問題を残して終わったなら、途中で粘りすぎた場所を見直す。結果に合わせて、次の一回で変えることを決めればいい。

速く解くことより、取れる点を先に取る。分からない一問に足を止められたまま終わらないために、まずは「あとで戻る」を練習してみよう。

試験情報の確認先:日本商工会議所「試験科目・注意事項」(2026年9月確認)

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