
今回のポイント!
- 取引先や従業員に代わり立て替えて払うこと。 立替金
- 給与天引きした所得税や社会保険料。 預り金


- 立替金は、資産勘定 で、借方(左側)が定位置。
- 預り金は、負債勘定 で、貸方(右側)が定位置。
- しつこいですけど、勘定科目がどのグループで、借方・貸方のどちら側なのかを把握するのが鉄則。
「簿記3級の勉強、順調に進めてきたのに、立替金とか預り金が出てきて、急に難しくなった…」
こんなふうに感じているあなた、大丈夫です!
立替金と預り金は、簿記の学習で多くの人がつまずくポイントのひとつです。
似たような言葉で混乱しますよね。
でも、安心してください。
これらの勘定科目は、あるシンプルなルールを知っていれば、意味も使い方もスッキリ理解できます。
この記事では、立替金と預り金の意味を、初心者でもスッと頭に入るようにわかりやすく解説します。
簿記3級でなぜ重要?「立替金」「預り金」の勘定科目の意味
立替金と預り金は、「一時的に立て替えた(預かった)」という状況で使う勘定科目です。
- 立替金: 他の会社や従業員が支払うべきお金を、一時的に会社が立て替えたとき
- 預り金: 他の会社や従業員から、一時的に会社がお金を預かったとき
この2つは、「一時的に会社の財布を通過するだけ」という点で共通していますが、決定的に違うポイントがあります。
それは、「お金を払った側か、受け取った側か」です。
払った側は「立替金」、受け取った側は「預り金」
- 立替金は、後で立て替えたお金を返してもらう「権利」が生まれたので、資産のグループに分類されます。
- 預り金は、後で預かったお金を返したり、代わりに支払ったりする「義務」が生まれたので、負債のグループに分類されます。
このシンプルなルールを理解するだけで、立替金と預り金の使い分けが簡単になりますよ。
「立替金」「預り金」の具体的な仕訳パターン
立替金と預り金の勘定科目の意味を理解するには、実際に仕訳をしてみるのが一番の近道です。
ここでは、具体的な取引例を見ていきましょう。
「立替金」の仕訳例
会社の経費を従業員が立て替えるケースはよくありますが、その逆で、会社が従業員の個人的な費用を立て替える場合に立替金が発生します。
- 取引例1: 従業員が負担すべき健康診断費用10,000円を、会社が代わりに現金で支払った。
この取引では、現金という資産が減り、後で従業員から返してもらう権利である立替金という資産が増えました。
| 借方 | 貸方 |
| 立替金 10,000 | 現金 10,000 |
- 取引例2: 後日、上記の健康診断費用10,000円を従業員が現金で会社に返済した。
この取引では、立替金という権利が消滅します。そして、返してもらった現金という資産が増えます。
| 借方 | 貸方 |
| 現金 10,000 | 立替金 10,000 |
「預り金」の仕訳例
従業員から源泉所得税や社会保険料などを一時的に預かる場合に、預り金が発生します。
これらは、後日会社がまとめて国や自治体に納付します。
- 取引例3: 従業員へ給料100,000円を現金で支払った。この際、源泉所得税5,000円を差し引いた。
この取引では、給料という費用が発生し、現金という資産が減ります。そして、国に納付する義務である預り金という負債が増えます。
| 借方 | 貸方 |
| 給料 100,000 | 現金 95,000 |
| 預り金 5,000 |
- 取引例4: 預かっていた源泉所得税5,000円を現金で国に納付した。
この取引では、預り金という義務が消滅します。そして、納付した現金という資産が減ります。
| 借方 | 貸方 |
| 預り金 5,000 | 現金 5,000 |
立替金・預り金の勘定科目を効率よく覚える3つのコツ
ここまで「立替金」と「預り金」について見てきましたが、簿記3級には他にもたくさんの勘定科目が出てきますよね。
すべてを丸暗記するのは大変ですが、いくつかのコツを押さえれば、効率的に学習を進めることができます。
コツ1:仕訳のパターンで覚える
勘定科目の意味を一つずつ覚えるのも大切ですが、それだけでは頭に残りにくいもの。
- 「お金を立て替えたら、立替金という資産が増えるから借方」
- 「お金を預かったら、預り金という負債が増えるから貸方」
というように、仕訳のパターンと一緒に覚えることで、勘定科目がどのように使われるかを身体で覚えることができます。
コツ2:資産と負債を常に意識する
立替金と預り金は、どちらも「一時的な処理」という点で共通していますが、所属するグループが違います。
- 立替金:将来お金を返してもらう権利なので、資産のグループ
- 預り金:将来お金を返したり支払ったりする義務なので、負債のグループ
このように、同じような意味を持つ勘定科目でも、資産と負債のどちらに分類されるかを意識して覚えると、理解が深まります。
コツ3:「一時的なもの」であることを常に考える
立替金と預り金は、あくまでも「一時的」に会社の現金を預かったり、支払ったりしたときに使う勘定科目です。
最終的には、本来の持ち主(従業員など)との間で精算されることを頭に入れておきましょう。
まとめ:立替金・預り金は怖くない!
簿記3級の学習において、立替金と預り金は多くの人がつまずくポイントです。
でも、この記事で解説したように、「お金を立て替えた側か、預かった側か」というシンプルなルールを理解すれば、決して難しいことではありません。
立替金は資産、預り金は負債、というようにグループで覚えるのが一番の近道です。
一つひとつの勘定科目を丁寧に理解し、仕訳の練習を繰り返せば、必ず簿記3級の合格に近づけます。

勘定科目がどのグループなのかを覚えることで、意味がスッと頭に入ってくるよ!!



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